セッション情報その5: コミュニティとオープンソース

セッション紹介記事もはや第5弾となりました。オープンソース・ソフトウェアはたくさんありますが、WordPressが特徴的なのはそのコミュニティの大きさです。

たとえば毎年1,000人程度が参加するこのWordCamp Tokyoは世界でも3番目の規模のWordCampになっています。テック系のイベントとし大規模というだけでなく、単一のソフトウェアでこれだけの人が集まるのは珍しいと言えるでしょう。言語単位のコミュニティやクラウドベンダーなどが開催するイベントに匹敵する規模だと言えるでしょう。

最近のWordPressリリースには日本人のコアコミッターも散見されるようになっており、「オープンソースソフトウェアに貢献する」という観点からは距離が近いコミュニティだと言えます。この記事で紹介するセッションでは、WordPressコミュニティで何が行われているかがわかりやすいものばかりです!

また、この記事では英語のセッションを紹介しますが、すべて同時通訳付きです! それでは、同時通訳もついたグローバルなWord Camp Tokyo 2016への登録がまだの方はこちらから!

コア・コミッターの貴重な話

WordPressへの貢献は色々な形がありますが、WordPress本体のコードを書く人のことをコア・コミッターと言います。どのオープンソース・ソフトウェアでもそうですが、コア・コミッターになるのは名誉なことです。

Contributing, You, and your Business / 貢献すること、あなた自身のこと、そしてあなたのビジネスのこと

スピーカー: Mike Schroder

I’ve been contributing code to the WordPress project while being sponsored by DreamHost for about 5 years.

You’ll learn the core contribution process, what this looks like within the business, and how it can help you succeed in the WordPress marketplace.

Mikeさんは以前ご紹介した通り、コア・コミッターであり、WordPress 4.5ではリリース・リード(責任者)を努めました。DreamHostという会社に勤めながら、業務の一環としてWordPressへのコミットを行っています。つまり、土日や平日の夜に家でやるのではなく、WordPressのバグを直したりするのが会社での業務の一貫となっているわけですね。

今回のセッションでは、なぜそんなことが可能なのか、そしてそのビジネス的な意味はなにかという深いお話をしていただけそうです。LinuxやAndroidなどのオープンソース・ソフトウェアも、実は90%ぐらいのコードがボランティアではなく特定の企業に務める人が業務の一環として書いている、ということを聞いたことがありますが、そうした事例について聞ける貴重なチャンスです。

コアコントリビューターへの道とその先

スピーカー: Toro_Unit, Kite

WordPress のコアへのコントリビュート、プラグイン・そのほかオープンソースプロジェクトの開発やコントリビュートなどを行ってきました。

その経験を基に、その楽しさ、意義、どのようにしてきて、そして何を得たのかについてお話いたします。

ToroUnitさんはCustom Post Type Permalinksの作者、KiteさんはWockerの作者としてよく知られていますが、2人ともWordPressへの貢献を積極的に行い、コア・コントリビューターとして名前が掲載された経験があります。

以前、WordCamp USでKiteさんがWordPressの共同創設者Mattに「どうすればリリースリードになれるか?」という質問を投げかけている動画を見た気がするのですが、筆者より一回り近く若い世代が精力的に活動している話を聞くのがとても楽しみです。

コミュニティ運営について

Into the WordPress Community – A look into the different WordPress teams, how to join them. / WordPressコミュニティに飛び込む – 様々なWordPressチームと、そこに仲間入りする方法

スピーカー: Jon Ang

Into the WordPress Community –

A look into the different WordPress teams,
I will describe the rows and possibly use screenshots / images / examples to describe the different teams’s individual roles and how the teams actually come together both in planned and unexpected ways.

Jonさんはシンガポールで働きながら、WordPressに対して複数の貢献を行っています。メインはドキュメンテーションチームですが、テーマレビューチームやサポートチームなどにも加わったことがあるそうです。

それぞれのチームには個性があり、そこでうまくやっていくためには幾つかの秘訣があるとか。WordPressに限らず、異質な環境の人とコミュケーションをとらなければならないシーンでも役に立ちそうなセッションです!

Reality of contributing to open source / オープンソースに貢献することの現実

スピーカー: Ulrich Pogson

I have been contributing to WordPress for about two years now. My talk will be about the realities of contributing to open source projects. On one side you have all of the positives; nearly all of my work have come through people seeing me being active in the community and learning a lot from working with other people but the on the other hand there are also challenges. It is not easy to keep the motivation to keep contributing, there are conflicts with other contributors. I have also learnt a few things how to get integrated in a new team quickly and how to go about changes things quickly and easily.

UlrichさんはWordPressのコアコントリビューターで、テーマ・レビューチームの管理人です。彼の経験から、オープンソースへの貢献には良い側面(学ぶことが多い)と悪い側面(モチベーションが続かない)があるそうです。これらの矛盾する感情をどうやってやりくりしているのか、体験談を交えた貴重なセッションです。

The Raise of the Global Community / グローバルコミュニティの勃興

スピーカー: Petya Raykovska

In 2013, the first WordCamp Europe jump started several local communities in European countries and inspired hundreds of people to start contributing back to WordPress. Three years and four editions later, Europe has the biggest WordCamp to this day with attendees from more than 74 countries all over the world. Since 2013 Europe saw a stunning raise of local WordCamps and is getting even more active contributors every day. Having exist mostly in the shadows of the contributing efforts since 2003, the WordPress Polyglots team is now gaining strong momentum while its 5000 people volunteer team is working tirelessly to remove the language barriers for users. In 2016 the team organised the largest online WordPress contributor day to this day with more than 440 people from 105 countries participating. This talk will tell the story of how the united efforts of several European WordPress experts’ ideas helped pave the path of the global WordPress community.

PetyaさんはWordPressのPolyglots(多言語化)チームや、WordCamp Europeのオーガナイザーとして活動しています。WordCamp Europeは2013年に数百人規模で開始され、2016年には世界74カ国から参加者が集まる規模になりました。Polyglotsのコントリビューターが5000人にいるという事実は、WordPressがグローバルに使用されていることの証でもあります。このセッションでは、そうしたヨーロッパでの取り組みについてお話しいただけます。

わぷーについて

わぷーは日本発のWordPressマスコットで、オープンソースです。この貢献は世界各地のWordPressコミュニティに受け入れられ、世界各地のWordCampではご当地わぷーを作るのが慣例となっています。

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これはWordCamp Kansai 2016で貰ったわぷーマグカップ

わぷー 5周年 〜誕生から現在、未来〜

スピーカー: カネウチカズコさん

WordPressコミュニティーの皆さんに愛されている「わぷー」の誕生にまつわる話から現在、作者の予想をはるかに超えて世界まで羽ばたいている状況について、作者としての感想をお話しします。

わぷー作者であるカネウチさんはここまで広まると思っていなかったそうで、わぷーがこれだけ世界各国で愛されているのは、オープンソースの不思議というか、人生万事塞翁が馬というか、面白いものです。筆者もWordPressフォーラムでわぷーの名前募集があったときはふざけて「わぴかちゅう」とか言っていたのですが、こんなことになるとは思いませんでした。

当日は質問時間をたっぷり儲けるそうなので、わぷー好きの皆様はぜひセッション会場に足を運んで質問しましょう!

以上、WordCamp Tokyo 2016のセッションを一部ご紹介しました。次回の紹介記事もお楽しみに! ちなみに、当日はWordCamp Tokyoのご当地わぷーステッカーが貰える可能性が大なので、登録がまだの方は、急いで登録しましょう。

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