実行委員長より全ての皆さまへ

WordCamp Tokyo 2019実行委員長のmimiです。

WordCamp Tokyo 2019 セッションデイにご参加いただいた皆さん、ご協力いただいた沢山のスポンサーの皆さん、素敵なお話をしてくださったスピーカーの皆さん、当日ボランティアとしてご協力いただいた皆さん、実行委員として半年も一緒に動いてくださった皆さん、そして多様な方面からWordPressとWordPressコミュニティのためにコントリビューターデイにご参加くださった皆さん、改めて本当に有難うございました。

まずはトップページにもドドンと貼らせていただいていますが、去年に引き続き今年も素敵なアフタームービーが仕上がっておりますので、まだご覧いただいていない方はぜひご覧ください。制作を担当してくださったのは金子さん、田嶋さんのお二人です!有難うございます!

WordCamp Tokyo 2019 アフタームービー

さて、私は本来、このような公式サイトに個人の意見を書く必要は余りないと思っています。しかし、私自身どのように実行委員長が決定されて実行委員会が運営されイベントが行われているのか、外からみて良くわからないなあという印象を持っていました。それを公開することの良し悪しについては分からないのですが、どちらかというと詳らかにするほうがWordPressの気風に合っている気が勝手にしています。

きっと毎年、委員長が決まる経緯も、委員会の運営方針みたいなものもバラバラなのだと思うのですが、拙いながらもその実録のひとつとなればと思い、この記事を書いてみます。

実行委員長になるには

WordCamp当日の挨拶でもちらっとお話したのですが、WordCampの実行委員長になるのに特段の資格や専門知識というのは必要ありません。

が、イベントを終えて思うのは、一度は実行委員として何処かしらのWordCampを経験している人がやるのが一番良いのかな、とは思います。ビギナーにはやはり荷が重かったです。

私が無謀にもじゃあ委員長やります、と言い出した当初はコミュニティに参加してまだ1年足らずの超絶ビギナーでした。他にやる人が本当に居ないのであれば、という条件付きだったのですが本当に現れなかったので本当にやることになりました。「わーまじかー」と実際に声に出たのを憶えています。

とはいえ、1年足らずの間にMeetupへの参加やLT発表、WordCamp Tokyo 2018の当日ボランティアとコントリビューターデイ参加、本家および日本語Slackへの参加や翻訳活動等、私的にやれる範囲のコミュニティへの参加はちょこちょこしてきていて、それを評価していただいてのお声がけだったのかなとは思います。

でも基本としては、東京のMeetupにオーガナイザーとして参加していて、実行委員長をやりたい、やり遂げたいとコミュニティに宣言出来る力があれば、誰でもなれるものです。(言い換えると、Meetupのメンバーを大体把握していて、誰に向かって宣言すれば良いのか把握できるほどコミュニティに参加している必要があるということです。)

え、委員長とは言わないけれど実行委員ってちょっと興味があるんだけど、という奇特な方は取り敢えずSlackへの参加WordPress.orgへのアカウント作成などから始められてはいかがでしょうか。または、Tokyo WordPress Meetupのリストから気になるお近くのイベントへご参加ください

またもっと詳しくWordCampについて知りたい方には以下のサイトをおすすめします。
このサイトを熟読すれば貴方もWordCampオーガナイザーに!
WordCamp Japan – WordPress イベント「WordCamp」の日本語公式サイト

日程決めとコンセプト資料づくり

さて、やります宣言後、メンターさん(各WordCampに基本1人のようです)に付いてもらって委員長候補(実際に WordCamp Central から承認されるまでは候補者扱いとなります)となっての最初のお仕事的なものは、今年のWordCamp Tokyoをいつやるか決めることとコンセプト資料づくりでした。

その他の実行委員の方々は公式サイトにて応募フォームがあり、すでに公募されていました(別に公募しなくてはいけない決まりはありません)が、皆さんに面識があるわけでも無かったので、まずは私が誰か知っていただき、どういう意図で今年のキャンプをやろうとしているのかのプレゼンがまず必要でした。(ですのでこれは委員長としてマストの作業ではありません。)

と同時に、実行委員の皆さんの求めるWordCampとはなにか、今年は何がやりたいか、経験者にはこれまで何が問題だったかをヒアリングをしてリストアップし、トリアージしていくという作業も並行して進めていました。

今になって思えば、実行委員の皆さんへというより、自分の覚悟を決めるための準備作業だったように思います。

その後のタスクについては、班決めなど色々なタスクがあるのですが、ここからは大体が公式ハンドブックなどに書かれているのでこれ以降の経過は省いて、振り返りに移ります。

目標の達成について

先のコンセプト資料に掲げた6つの目標のうち一つでも達成出来たらなら御の字だなあ、と本当に思っていたのですが、終わってみると皆さんのおかげでいくつかは達成することが出来て、ホッと荷を降ろしています。というわけで、ここからはスタッフの皆さんへの感謝を伝えると共に、振り返りを書いてみたいと思います。

1. 体制づくり

ここは全くうまくできませんでした。体制として何が問題か、という問題点の洗い出しと来年への提案という程度の達成率です。

40人体制でしたが、かなりの仕事量を全体の半数以下で回している状況がありました。WordCampのボランティアとはそういうものだと言われると黙るしかないのですが、どうにも後出しジャンケン過ぎてビギナーに優しくないので、継続的に行われるWordCampであれば実行委員の募集前に概略で良いので各班の実動や実際の仕事内容の提示があると良いのかなと思います。

また達成のために、気軽に聞ける場づくり、というのも掲げていたのですが、全く出来ていなかったなあと反省しきりです。そもそも私がチームビルディングというのが全く得手ではないタイプの人間なので、皆さんにさらに要らぬご苦労をおかけしてしまったのではないかと推察しています。それでも最後までお付き合いくださった皆さんに感謝です。

2. WordPressで出来たWebアプリ

WordPressのイベントなのにWordPressに触れずに帰るなんて勿体ないなと思っていたので、なにかそういうものが出来たらいいね、という話から、昨年PWAなWordPressのお話をしていただいた進藤さんと、昨年のデザインチームで活躍していただいた壺井さんのお二人でWebアプリの作成にチャレンジしていただきました。残念ながらアプリ登録の段階でリジェクトはされてしまいましたが、この知見を今後のWordCampに活かせていけたら良いなと思っています。お二人とも有難うございました!

Making of Official App / WordCamp Tokyo 2019

3. 女性の登壇率

これは達成できました!とても嬉しいです。

数字を意図的に無理矢理上げるような操作等はしたくないし、してもあまり意味がないので、女性からの募集を増やすために実行委員やコミュニティ内からの声掛けをお願いして母数を増やす、というような策しか無かったのですが、実は今年は過去最高レベルの応募数を頂いてしまって、そこまで全体での率も上がらずどうしたものかと途方に暮れていました。

さらに、今回はなるべく公正を期すため、お名前や性別を伏せて、ご応募いただいた内容のみで実行委員(希望者のみ)による投票を一次選考としたのですが、幸いにもたまたま女性の方の応募内容への評価が高いものが多く、またジャンルも多岐に渡っていたために、自然と率が上がる結果となりました(28人中11人、全体の4割が女性)。

とはいえ、女性の応募率の低さは今後の課題の一つとしてまだあるのかな、とは思っています。

これについてはセントラルでの取り組みも始まっています。詳しくは、WordPress コミュニティでダイバーシティ(多様性)スピーカートレーニングのプロジェクトが進行中(※外部サイトの記事です)の記事をご参照ください。

4. 新エディターの HOWTO

4つ目の目標については、新エディター(ブロックエディター)に関連する素晴らしいセッションをしてくださったスピーカーの皆さんと彼らをサポートしてくださったセッションチームの皆さんのおかげで、結構しっかりとアピールできたのでは無いかなと思っています。

特に、初心者の方向けではありますが、内容的に幅広い層に参考にしていただけると思います、村上直子さんのセッションは必見の資料となっていると思います。お見逃しの方はぜひご覧になってみてください。

ゼロから学ぼう!ブロックエディター(Gutenberg)

5. 託児サービスの実施

子ども向けのワークショップにはちょっと手が届かなかったのですが、皆さんのご協力により託児サービスについては実施する事が出来ました。

Tokyoでは初めての、且つ業者の方にお願いしての実施でしたので、託児サービスのニーズがあるかどうか、最初に実際のユーザーが居るのかどうかのヒアリングを行ってから最終的に実施の判断をするようにしました。来年以降は普通に実施出来るサービスになっていくと良いなと願っています。

Photo by TORIYAMA Yuko

6. 早めの PR

リリース記事から逆算して、タスクを整理して行くと良いかなと思って、スタート初期にコンテンツディレクターのアクツさんにお願いしてリリース予定記事リストを作成してもらいました。

と同時に、WordCamp EUなどを真似て、主なマイルストーンの公開を行ったことで、内外の皆さんに大体の目安の時期をお伝え出来たことも流れが見えて良かったのではないかと思っています。

もちろん全てが予定通りとは行きませんでしたし「早めに」PR出来たかどうかは余り自信が無いのですが、広報チームの皆さんのお陰で、ほぼ予定日にリリースすることが出来ました。そしてリストの存在自体がリマインドにも、予定表にもなったのでとても助かりました。

またTwitterとFacebookでの拡散をこまめに且つ丁寧に行ってくれたゆっきーさんのお陰で、十分なPRが出来たのではないかと思います。本当に有難うございました!

当日も大活躍だった広報チーム 左からゆっきーさん & アクツD! / Photo by Yasuhiro Obuchi

ダイバーシティを掲げて思ったこと

特に、託児サービスの実施、というのを提案した時に出た反論というか危惧された意見というのが、「女性優遇と取られないか心配だ」というものがありました。その意見が外からではなく中からの声だったこと、これにとても絶望したのを憶えています。

この場を借りて、声を大にして申し上げたいのですが、

育児は女性だけの役割ではありません

託児サービスを掲げた数字的な理由は去年の参加者の年齢層にあります。WordPressコミュニティには25〜45歳の子育て世代の方が圧倒的に多いのです(72%)。

また女性の登壇率を上げたかった理由も、WordCampの参加者層に比べて圧倒的に低かった(4割が女性ですが登壇者は2割でした)からなのですが、こちらにも懸念の声がでたことが、とても残念でした。現実の東京はダイバーシティには程遠いからこそ取り組まなければならない問題なのだな、と痛感しました。

例えば喫煙室があることが当然であるように(最近は無い場所も増えていて、それもあまり良くない傾向だと私は思うのですが)託児サービスがあることが当然になったり、女性ばかりでなく様々なジェンダーや年齢層の方の登壇があるような、より自由度と多様性の高いコミュニティを目指せると良いなと願っています。理想ではありますが、理想が無いと何も始まりません。

やってよかったこと

UDトークの採用

今回はアクセシビリティへの取り組みも強化したいということで、副実行委員長の齋木さんの提案により、UDトークを採用したのですが、これは本当にとても良い取り組みだったと思います。

UDトークとは音声認識技術を使うことにより、リアルタイムで字幕を作成することが出来るリアルタイム翻訳アプリです。詳しくは公式サイトを御覧ください。

今回はUDトークさんの全面的ご協力のお陰で、全セッションでのUDトーク対応が可能になりました。代表の青木さんに感謝です。そして、実現のために当日ボランティアながら事前MTGにご参加いただきご協力いただいたUDトークチームの皆さん、本当に有難うございました。

UDトーク採用の立役者 副委員長の齋木さん / Photo by TORIYAMA Yuko
UDトークチームのお二人 / Photo by Takenori Okashita
UDトーク代表自らによるUDトークチームの事前MTG / Photo by Taro Oikawa
QRコードから各ルームのURLを読み取って手元のアプリで表示することも出来ます / Photo by TORIYAMA Yuko

受付フロー改善のためのQRコード発行

これについては、今年はアプリ班のリーダーを担当してくださった高橋文樹さんが詳しい記事を書いてくださいました。プロの文筆家にレポートを書いてもらうなんて贅沢な話です。お忙しい中、本当にありがとうございます。

https://2019.tokyo.wordcamp.org/2019/12/03/wp-checkin/

受付のフローの改善は、昨年のアンケート結果からだけでなく昨年手伝ってくださったスタッフの中からも取り組みたい課題として筆頭に上がっていたものでした。

その改善に、アプリ班のQRコード機能が大活躍してくれたのは言うまでも無いのですが、高橋さんも書かれているように、今回の改善はそれだけで上手く回ったものではありません。事前のヒアリングに協力してくださった実行委員の皆さん、スタート時間を一律にしないようタイムテーブルを工夫してくれた齋木さんと鈴木さん、受付フロー図を書いて一緒に検討してくれた高見さんと戸田さん、そして当日ボランティアの方々のご協力があって実現出来た改善でした。皆さん本当にありがとうございます。

当日もヘルプデスクに入ってくださった高橋さん / Photo by MIDORI HAGINOYA TOKYO JAPAN
受付のお二人 / Photo by Takenori Okashita
QRコード受付の様子 / Photo by sugawara shinnosuke
1Fでの誘導のお二人 / Photo by Yasuhiro Obuchi
誘導係のみなさん / Photo by sugawara shinnosuke
誘導係のお二人 / Photo by Takenori Okashita
コントリビューターデイ班と兼任して受付の要を担ってくださった立花さん / Photo by TORIYAMA Yuko
受付係の皆さんに受付のQRコード読み込みの説明中 / Photo by Takenori Okashita

難しかったこと

アフターパーティどうする問題

昨年に引き続き、今年もクラブでのアフターパーティ開催となったのですが、この決定は別にド派手なパーティがしたいとかそういう発想ではなく、とても消極的な理由からでした。

なるべく多くの参加者がアフターパーティにも参加出来ることが理想で、且つWordCampは参加者が金額で選別されることのないように、リーズナブルであることが求められています。また懇親会費を別に収集する形にするとなかなかの額になるのに、満足の行くサービスを提供できない(過去にそのようなフィードバックがありました)可能性が高いという話もありました。その考えからやはり今年もチケット代2,000円にアフターパーティの参加費も含めたいと考えました。

しかし、集客が500名以上となってくると、東京でアフターパーティを行える場所というのがかなり限られてしまいます。(主会場のベルサールでは一つの部屋にそんな人を入れるスペースはありません。)そうしてハコを色々と検討した結果、今年もクラブでの開催に踏み切ったのでした。

来年はどうするべきか、課題の一つだと思いますが、やはり懇親会費は別途徴収が無難なのかなあと思ったりしています。

コミュニケーション不足

そして、仕事をふること、仕事を把握してもらうこと、現状を報告してもらうこと、が何より難しかったです。つまりはコミュニケーションです。

普段フリーランスで小さなチームに混じって仕事をすることはあっても、40人ものマネージメントなどは全く経験が無く、問題があると認識は出来ても何をどうしたら改善するのか分かりませんでした。後半二ヶ月はわらわらと増えていくタスクを只々ちぎっては投げていた状態です。

先ずは仕事をお願いして内容はお任せしつつ、こちらから早めに期限を切るのが肝かなあと思いました。あと、伝えたいことは何度でも色んな方法で投げかけていく必要がある、ということも学べました。

そんなことはマネージメントワークとしては当然の話なのかも知れませんが、始終そんな風にいっぱいいっぱいで全くもって至らない委員長を支えてくださった皆さん、改めて本当に有難うございました。素敵な方々とご一緒することが出来て光栄でした。

登壇しつつスポンサーチームのリードを十二分に担ってくださった中谷さん(左)と当日も奔走してくれ過ぎててまともな写真が殆どない副委員長の戸田さん(右) / Photo by Takenori Okashita
お忙しい中スライドチェックもギリギリまで付き合ってくださったセッションチームリードの鈴木さん / Photo by Taro Oikawa
セッションチーム英語対応を担ってくださった赤塚さん / Photo by sugawara shinnosuke
細かやなディレクションが見事でしたアートディレクターの高見さん(左)と撮影チームの山本さん(右) / Photo by Tunetomo Yamamoto
当日も大活躍のデザインチームのお二人 / Photo by Yasuhiro Obuchi
メンター兼コントリビューターチームリード 高野さん(左)コントリビューターデイでのコミュニティ班リードの額賀さん(右)顔を隠しちゃってるけどマーケティング班リードの中島さん / Photo by Takenori Okashita (GOUTEN)

他にもご紹介したい方が何人もいらっしゃるのですが…とても載せきれない沢山の皆さんのお陰で、今年のWordCamp Tokyoを開催することが出来ました。本当に有難うございます!


ご意見・ご感想等は随時お問合せフォームより承っております。お気軽にお寄せください。

また、今後のリリースとしては、

  • セッション動画について
  • 託児サービス実施についてのご報告
  • アンケート集計結果のご報告
  • 会計報告

を予定しています。今暫くお待ちください。


上記に掲載されている写真はすべてクリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示4.0 国際)のもとに掲載を許諾されています。

投稿者: mimi

web designer / developer

WordCamp Tokyo 2019 is over. Check out the next edition!